第169回
更新/2019/1/25

アンコール遺跡 旅行記-3


5日目
この日は世界遺産で「天空の寺院」と言われるプリア・ヴィヒアに行く予定でした。タイ国境にあり、シュムリアップから四駆車で片道4時間はかかり、麓からは軽トラに乗り換え、500mの標高差を上りきったところにある「天空の寺院」そこからのカンボジアの大地は素晴らしい。と高いツァー代を出して日本から申し込んでいました。
ところが昨夕から夫が体調を壊し出し、そんな遠くまで行くのは無理になってきました。夫もなんとか廻れそうなアンコール・トム周辺の遺跡を廻ってもらうことにしました。


プリア・カン
 工房だより
ジャアヴァルマン7世の父の菩提寺。広くて立派です。
2階建の石造建築物はまるでギリシャ神殿です。ここは図書館だったそうです。


ニャック・ポアン
 工房だより
池のなかにある円形寺院。ここの水で病気を治したそうです。


東メボン⇨プレ・ループ⇨スラ・スラン⇨プラサット・クラヴァン
少ない目に廻ってください。と頼んだのですが、ガイドさんは悪いと思ったのか丁寧に案内してくださる。
どれも似ているようで、それぞれに異なりそれぞれに面白い。ゆっくり見学していたら時間がかかります。


気球からの眺め
 工房だより
最後に気球に案内されました。ここの気球は1基しかなく固定されているので飛ばされることはないとのことで、乗ってみました。
アンコール・ワットの伽藍がよくわかります。アンコール・トムは全然見えません。ジャングルに飲み込まれていた遺跡群。然もありなん。まだまだ遺跡がジャングルから発掘されているそうです。自然の力がここでは勝っています。


6日目
帰国日ですが、飛行機は深夜なので、日本語ガイドの"石田さん"に頼んで郊外のプノン・クーレンに行くことにしました。
夫の体調は未だ治っていませんが、素晴らしい滝がある、とのことで出かけました。田舎道は日本の昔みたいです。車は少なく、バイクや自転車にいっぱい物を乗せて移動しています。まだまだ物々交換の世界が残っているそうです。
プノン・クーレン
 工房だより
アンコール発祥の聖なる山。川には沢山のリンガが彫られ、その上をとうとうと水が流れています。
 工房だより
大きな涅槃仏があり、その手前で石田さんはヒンズー式の拝み方を教えてくれました。
蓮の花と線香を手に持って横座りになって拝む。ヒンズー教と仏教がここでも一体化しています。地元人のお参りも多く、滝遊びをする人も多く、アンコール遺跡とは異なる現代のカンボジア人の宗教感を見たように思いました。


大きな滝 
 工房だより
先ほどの川の下流が滝になっています。


帰り道 石田さんのいとこの婚約式があるというので寄りました。式は終わっていたのですが、親戚が集まって賑やかに談笑しています。
カンボジアの結婚事情を話してくれました。ほとんど親が決めた見合いである事。日を重視する。結婚したら女性の家に同居する。婚約するには多額の結納金を男性が払わなければいけない。結婚式は二日にわたり沢山の人を招待する。
なかなか厳しい!
石田さんに空港まで送ってもらって、冬の日本への帰路につきました。


印象に残ったのはカンボジア人の優しさと真面目さです。日本語の堪能な数名のガイドさんとお話ししただけですが、皆 素朴で勤勉で一生懸命案内してくれます。そしてキラキラした目で日本への憧れを語ってくれます。
 工房だより
日本語ガイドのひとり 建造物の石の積み方を説明してくれています


カンボジアは中国、インド、タイ、ベトナム、に囲まれ いまでも侵略の危険にさらされている国です。フランスの植民地時代、第2次世界大戦の時は日本が侵略してきた時代もあり、内戦も多く まだまだ国力は弱そうです。でもあのキラキラした目の若者がきっと飛躍的な発展を成し遂げることでしょう。自立した平和なカンボジア国家になってほしいと願います。
ただ旅人のわがままかもしれませんが、この純朴さは残って欲しい、経済的に発展するだけが幸せではないよ、と言いたい気もしました。


初めての東南アジアの旅でした。私たちにとってはアジアに目を向けさせ、自国 日本を改めて考えさせてくれる良い旅でした。
暑い、すごく歩いて疲れる、など心配な話を色々聞かされて出かけたのですが、日本のあの暑さに比べれば全然大丈夫です。是非出かけてみてください。