雑木林工房だより
リニューアルした京都市京セラ美術館
第191回
更新/2020/7/3
この4月にリニューアルオープンのはずだった京都市京セラ美術館の予定が延期になっていました。他府県の者も予約すればやっと観覧できるようになったので、久しぶりに電車に乗り出かけました。
以前の厳かな美術館の外観はそのままですが、入り口は地下になって、ガラスのファサードを通り、体温チェック、消毒をして、入館しました。
大階段を上ると以前の大陳列館は、螺旋階段のある「中央ホール」に大きく美しく変わっていました。
東側はガラス張りで 緑美しい東山が目に飛び込んできます。
そこに杉本博司の「アイザック・ニュートン式 スペクタル観測装置」が置かれていて、プリズムを通して虹色スペクトルが見えます。
新館の「東山キューブ」で開館記念展として、『杉本博司 瑠璃の浄土』が開催されています。
京都市京セラ美術館の再生と、現代人の魂の向かう場所としての浄土の概念を問う、仮想の寺院を構想した展示だそうです。
先ず、このような光学ガラス五輪塔が13基、静かに屹立し、杉本ワールドに引き込まれていきます。
ガラスの五輪塔の中には海の写真がはめ込まれており、その展示は撮影不可でした。
次の展示では、「仏の海」と題された 京都三十三間堂の千手観音像、千体千手観音像の写真の荘厳さ。
一変して隣の部屋は色彩の世界。「ニュートン廟」。ニュートン光学にならい、光スペクタルを分光した光粒子の<色>。美しい‥‥
「薬師如来仏手」 古美術も多数展示されています。
「瑠璃の浄土」今回のタイトルの古代ガラス玉。
杉本氏の眼で選ばれた古美術から、氏の世界観が伝わってきます。
屋外の日本庭園に設置された「硝子の茶室 聞鳥庵」モンドリアンと読む。
緑と水の中での、お茶事はどう展開されるのだろうか!?
これは今まで非公開だった中庭。
「光の広間」として生まれ変わり、鬼頭健吾のパブリック・アートが色と光に軽やかに輝いています。
こんな空間が今まで放置されていたとは‥‥
リニューアルされて カフェやミュージアムショップも明るく開放的になり、周りの景色も取り入れて良くなっていたので嬉しかったです。
名称に京セラが付くのは、と物議を呼んでいましたが、ここまで大胆に変えるのは、予算も第三者の目もあってのことでしょう。
暑い日で、道中 ずっとマスクをしているのは、少ししんどかったですが、こうして美しい心引かれるものを五感で体感することは、私にとっては、美味しい水を飲む、のと同じで必要で大切なことだ、と改めて認識しました。