雑木林工房だより

第117回
更新/2015/5/17

ベンガラ工場跡

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前回書いた高梁市成羽美術館を見たあと、おなじ岡山県高梁市の吹屋(ふきや)地区へも行きました。
ここでベンガラを生産していた工場跡を見ることができます。
「吹屋ふるさと村 ベンガラ館」


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ベンガラ(弁柄)は、工芸や建築で使う赤褐色の粉末です。
うちの工房で使っているベンガラです。陶芸の釉薬や絵付けの材料になります。
古くは縄文土器にも塗った跡があるそうですが、今も顔料などで広く使われています。



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吹屋の地区内にある坑道です。この鉱山から黄銅鉱と鉄鉱がとれました。ベンガラは鉄鉱石から作られます。


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ベンガラ工場
鉄鉱石から結晶させた「ローハ」を鉢に入れ、この窯の中に何枚も積み重ね、700度で2日間焼いたそうです。


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それを水にひたして、ひしゃくで すくって桶に順番に移し、粗いものと細かいものによりわけます。
重労働です。


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一部は水車の動力を利用していました。上の写真に水車からつながった木製の歯車が見えます。



工場跡に展示してあった、製造工程の図。
「きれいな水を入れてかきまぜることを10回から100回繰り返して酸をぬきます」と説明にあり、大変な手間をかけて純度の高いベンガラを生産していた様子。
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ここは製造元の商家にある作業場です。
出来たベンガラをここでフルイに通して袋詰めし、馬車などで町へ出荷しました。
きっと周りも人もベンガラで赤く染まっていたことでしょう。


ふだん陶芸で使っているベンガラのことだけに、とても苦労して作られていた過去を感じた見学でした。